2024.05.24GOALZ

時を越えた再会

今回、初めて「GOALZ」をご利用くださった中村さまは、昭和21年に女学校卒業後、阪急電鉄をはじめとする阪急阪神東宝グループや宝塚歌劇団の創業者である小林一三さんの邸宅でご奉公されていたお話をリハビリ中によくされていました。
当時、ご奉公の報酬として宝塚歌劇を毎月無料で観ることができたことや、近衛文麿や幣原喜重郎などの歴代総理大臣が訪ねて来られ、その接待をしていたこと、小林一三さんご夫婦のお人柄などを懐かしそうに話しておられました。

これまでも何度かGOALZのご利用をお勧めしていたのですが、肺結核を罹患されたことで療養生活を余儀なくされました。そして、無事に退院され、偶然、小林一三邸の写真をデイサービス内に置いてあった雑誌で見つけ、当時の邸宅を再訪したいという思いが再燃し、今回のGOALZ企画「懐かしの小林一三記念館を訪ねよう!」が生まれました。

旧邸は小林一族記念館として復元・保存されており、周囲の茶室もそのまま残っていました。中村さまは書籍などで下調べをしたりしながら当日を楽しみにしてくださっていました。当日はあいにくの雨模様でしたが、中村さんと長女さまと無事に小林一三記念館に到着。中村さんにとって約80年ぶりの訪問となりましたが、当時の思い出は深く心に刻まれていたようで、「このカーテンも当時そのままやわ」「この手すりは毎日私が磨いていたのよ」「この部屋は、昔は女中の部屋で……」など、記憶が溢れ出してくる様子でした。小林一三さんの大きな写真を前に「大旦那さん、帰ってきましたよ」としみじみ語りかける姿が印象的でした。

ほぼ当時のまま保存されていた邸宅や庭、茶室を巡り「まさか生きている間にここに来られるとは思いませんでした。感無量です。あの世で主人への土産話になります」とのお言葉をいただき、体調面で不安もありましたが、企画を実行できて本当に良かったと思いました。長女さまからも「この企画が決まってから母は活気が出て生活が変わりました。是非、またこのような機会をお願いします」とおっしゃっていただき、今後とも中村さまの生活ややりたい事をサポートしていきたいと思いました。