2023.08.02nomane
近年、歯科口腔保健は「8020運動」や「歯科口腔保健の推進に関する法律」などにより大幅な改善が図られていますが、介護士の口腔ケア提供体制の不十分さが指摘されており、私たちも日々その問題を痛感しています。そしてこの課題に取り組むため医療法人桜樹会様にご相談させていただき、歯科衛生士の渡辺昭子様を講師としてお招きしました。また、ご利用者にも参加していただきながら口腔ケアに関する研修を行いました。
高齢者施設へ入居されている方の中には、口腔ケアの介助が必要な方が多数いらっしゃいます。今回の研修では、日頃スタッフが悩んでいる“拒否のある方のケア方法”に関して新たな学びが多数ありました。その中でも口の中を他人に触れられるのはとても不快と感じられる方への対応です。
なかなか口を開けていただけない方は、心理的要因によるものもあり心身の緊張をほぐす事が大切だそうです。そういった症状を和らげる方法として「脱感作」という手法があります。この手法では、体幹→肩→首→顔面→口腔周囲→口腔内と手のひらや人差し指で口腔から遠いところから触れ、リラックスしていただいて後にケアに入ります。実際に研修後に実施した結果、普段なかなか口を開けていただけない方も、脱感作を用いることで緊張がほぐれスムーズに口を開けていただけるようになりました。
口腔ケアには、誤嚥性肺炎の予防、摂食機能維持回復やADL及びQOLの維持向上に寄与する事が期待されています。この研修を終えて、当施設で生活を送っていただく中で、すっきりと気持ちの良い口で食べていただくことの重要性を再認識しました。また、提供している食材の大きさやとろみ具合を調整することや、清潔な状態を維持するための口腔健康管理が、全身の健康を維持・増進に繋がる事を学ぶことができました。