2023.11.10GOALZ

夫婦揃って思い出の場所「しあわせの村」に行きたい

S夫婦のご主人は幼少期に里子に出され、そこで厳しい環境にも耐え、早々に独り立ちせざるを得なかったと伺っています。苦難を乗り越えながら様々な経験を経て、奥様と出会い、ご結婚されて60年以上結婚生活を共にしておられます。現在、ご夫婦同い年の96歳。

この数年の間に奥様が入院するなどの状況もあり、ご主人一人で生活される期間が長くなりました。年齢もあり、次の日の予定を覚えられない日も増えていますが、ご夫婦で協力しながら過ごされています。しかし自分で行えることが減少し、毎日同じことの繰り返しや意欲の低下が見られ、以前に比べて笑顔が減っていると感じられることが増え、時折、落ち込まれることや困惑されることがあります。

Sご夫婦は非常に他者へ気を使われるため、どこかに出かけたいということはおっしゃられない中、担当のケアマネジャーさんと気分転換を含めた“お出かけの支援”ができないかという話になりました。数年前、ご夫婦で「しあわせの村」へゆっくりと訪れていたことを思い出し、今回Sご夫婦へご提案させていただきました。場所は覚えておられ、シルバーカレッジやアーチェリーなど当時の話が思い起こされ、楽しみにしておられました。

「しあわせの村」に到着すると、「ここ通ったことあるなあ」「(天気)気持ちええなあ」と日本庭園をシルバーカーで散歩しながらレストランへ向かいました。レストランでは、てんぷらそばを召し上がっておられ、普段ご自宅で食べておられる総菜のてんぷらとは違って、サクサクのてんぷらに大変喜ばれていました。食後はご主人の大好きなコーヒーとデザートも召し上がり、「久しぶりです。こんなにありがたいことはないなあ。いつも○○(奥様)と二人やからなぁ。みんなでおいしく食べられてうれしいです。いい思い出になりそうです」と何度も笑顔で話されていました。その後ご主人は貸切風呂に入浴、奥様は散歩に出かけ、分かれて過ごされました。再び合流されると、芝生のベンチで水分を摂りながら昔話に花を咲かせ、二人はのんびりと過ごされました。

後日、Sご夫婦が目にすることで思い出して笑顔になってほしいし、また行きたい、やりたいことが出てくることを期待して、ご主人の誕生日に「しあわせの村」で撮影した写真を貼ったボードをプレゼントしました。「二人で写真を撮ることはないから、きれいに撮ってもらえて嬉しい。このてんぷらおいしかったなあ。」とその日のことを思い出し喜んでいただきました。

最近のご主人は、気分の落ち込みが強く暗い表情が続いていましたが、今回のGOALZによって多くの笑顔が戻り奥様も嬉しそうでした。これからも仲の良いご夫婦が、“お二人らしく”暮らしていけるようにサポートしていきたいと思います。