2023.09.26Toyroro

Toyroro's SDGs

「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句がありますが、暑さの和らぎを感じられるには、まだ少し時間がかかりそうですね。登園する子どもたちの額にも、ときどきキラリと汗が光っています。部屋に入って友だちと挨拶を交わし、朝の支度を終えると早々と自分の好きな遊びへと移っていく子どもたち。同時に、玄関をくぐって保育園へやってくるキッズたちも増えてきます。

そんないつもの朝のこと―。
朝の会が始まる時間が近づき、皆それぞれに元ある場所へと玩具を片付けていきます。他に残っている玩具がないかと確認しながら、ふと窓の向こう側に視線を送ると、目の前の電線に一匹の“とんぼ”が止まっていました。手を伸ばせば届きそうなほどの至近距離。
「“とんぼ”がいるよ」と周囲へ呼びかけると、片付けの手を止めてさっそく子どもたちが窓の近くに集まってきました。背伸びをして一生懸命に“とんぼ”の姿を探したり、抱っこを求めて見ようとしたり、子どもたちそれぞれが興味津々。その後も仲良く窓にピッタリくっつき、“とんぼ”観察は続きます。
“とんぼ”に向けられる子どもたちの強い興味に感心しながら、後ろからそっと子どもたちの呟きに耳を傾けてみると……「おおきいトラックだ~」「〇〇ちゃんはね、○○いろがすき~」「あれすご~い」といった具合に、既に興味の対象は目の前の“とんぼ”ではなく、その先に見えるあらゆるものへと広がっていきます。 

子どもたちの興味関心の移り変わりの早さが実に面白く、また微笑ましく感じた一場面。毎日歌っている『とんぼのめがね』にも、“みずいろめがね”“ピカピカめがね”“あかいろめがね”といった様々なめがねがあるように、夢中になれるものでいっぱいに溢れていても、特定のものを深く追求していても、今は特に無くても、「みんな違うが、みんないい」―全ての違いが一つの個性として尊重され、受け入れられることが大切だと感じました。
私たちはつい固定概念にとらわれがちですが、子どもたちの柔軟な発想やひらめきにこそ、きっと色々なヒントが隠されているのだろうと思います。