2023.09.20GOALZ

夏の風物詩:花火大会と野球を観に行く

私がNさまの訪問看護の担当になってから4年が経ちました。
Nさまは幼少の頃にポリオに罹患し、両下肢が麻痺しているため移動には電動車椅子を利用されています。以前は友人と外食や外出も楽しまれていましたが、年々体力の低下や認知機能の低下が進み、外出が難しく感じられる事で自信を失っていました。
元々外出することが好きで、特に季節の風物詩を観賞する事が好きな方です。そこで今回、夏の風物詩である花火鑑賞を提案してみました。すると、「花火が見られるなんて嬉しいです。是非行きたい!」と前向きなお返事をいただき、早速、近場で開催される花火大会を探してみました。まず目に入ったのが「ほっともっとフィールド神戸」で開催される花火大会です。Nさまは野球観戦にも興味を示されたので、両方を楽しんでいただくことにしました。

実は、野球観戦が初めてのNさま。
GOALZの日程が決まった時、いつも訪問の予定を記入しているカレンダーに「花火・野球」と書き込み、この日を心待ちにしていました。一度は雨で試合が中止になりましたが、日を仕切り直し、当日は天気も良く絶好の野球観戦、花火鑑賞日和になりました。
試合が始まり、最初は応援団の大声援に驚かれていましたが、選手たちがヒットを打つと手拍子をしながら応援し、「すごいね!テレビで見るのと違うから楽しい!」と笑顔で話し野球観戦を楽しまれていました。そして、5回が終わって花火が始まり目を輝かせて花火を鑑賞されていました。
「昔は夏になると地元で大きな花火大会があって、花火を見ると夏だなーって思い出すの」と、花火が終わった後、何気ない会話のなかで話されました。本来なら花火が終わったら帰宅する予定でしたが、「もう少し見てもいい? 野球で頑張っている選手の姿をもう少し見たいの」とおっしゃったので、7回まで観戦しました。

翌日、Nさまにお会いすると「本当に楽しい時間でした。花火も綺麗で感動したし、野球に打ち込んでいる選手の姿を見て勇気をもらいました。私も頑張らないと思います」と伝えてくださったのです。そして、当社のARC(通所介護)で同じテーブルに座っておられた利用者の方々に野球や花火の事を楽しそうに話し、笑顔が溢れていました。その笑顔を見た瞬間、私自身もうれしい気持ちがこみあげてきてGOALZを提案して本当に良かったと思いました。

この企画を考える中で、Nさまの希望や思いを以前のように行動に移すことが大切だと強く感じました。私は訪問看護を通じて4年間Nさまと関わり、その間に少しずつ表情や気持ちの変化を感じ取り、特に最近は笑顔が減っているように感じていたのです。今回をきっかけに、Nさまの活動意欲の向上と日常生活でのささやかな楽しみが見つかったのではないでしょうか。私たち職員は改めて利用者さまのやりたいことを引き出し、実現して差し上げる重要な役目があることを実感しました。