2023.08.10GOALZ

天然温泉で身も心もリフレッシュ!

Tさまと私が出会ったのは3年前のことです。
持病が悪化し、筋力や体力が著しく低下していたため階段昇降などの動作が困難となり、外出の頻度が極端に減ってしまわれたそうです。そんな状況の中、当社のteon垂水(訪問看護)をご利用いただくことになりました。

Tさまは銀行員として50年以上働き、休日には奥さまと一緒に外食や旅行を頻繁に楽しまれるなど多趣味な方でした。特にお風呂が大好きで、出張先では忙しい合間を見つけて全国各地の温泉へ巡っておられたそうです。しかし、機能面の低下やコロナの影響からご自身に自信が持てなくなり、自宅に閉じこもる時間が長くなりました。

ある日のリハビリ中のことです。「もう一度、大きなお風呂に入りたい」と切実な思いを口にされました。そこで私たちの「やりたいこと」を実現する“GOALZ”のサービスを提案してみました。すると、「是非、天然温泉にいきたい!」と――。
そこで、天然温泉で身も心もリフレッシュしていただく企画が決定し、それからは浴室内歩行を想定した裸足歩行や跨ぎ動作訓練などのリハビリを一生懸命に取り組まれるようになりました。

そして当日、Tさまの自宅に到着すると着替えやタオルなど準備万端で私を待ってくれていました。スパまでは私の運転で向かい、Tさまの好きな坂本冬美の「喝采」や「祝い酒」などの曲を流しました。すると車内はカラオケ大会となり、到着するまでもとても嬉しそうでした。目的地の「白川温泉チムジルバンスパ神戸」は、Tさまが昔よく朝から晩までご利用され、通われていた場所です。

スパに到着すると足早に脱衣所へ向かわれ、一刻もはやく温泉へ入浴したいというお気持ちが伝わってきました。洋服を脱衣し、掛け湯をした後、爽快に露天風呂へ行きました。スパには、岩風呂、壷湯、絹の湯など多くの種類の露天風呂があり、それぞれの効能をしっかり確認され、まずは壷湯から入浴。「身体の芯から温まって最高や」と気持ちよさそうな表情を浮かべていました。
洗体の時は、いつもの感謝の気持ちを込めてTさまの背中を私が流すと「あなたに背中を洗ってもらえてしあわせ者やわ」と仰ってくださり、「わしもあなたの背中を洗うわ」と私の背中を洗ってくださったのです。仕事が仕事を超える瞬間とはこういうことなのか…と。Tさまの心情はわからないですが、私はTさまに対して深い信頼関係が築けたように感じました。

入浴後は、館内にある和食屋さんへランチに行き、ビールと天ぷら、ざるそばを注文。「お風呂上がりのビールは格別や!」と、コップを傾けゴクゴクと美味しそうに飲んでおられ、帰りの車内では「今日は楽しい時間をありがとう!次は有馬に行くよ!」と、次の温泉巡りにも意欲的でした。
これからもGOALZを通して、利用者さまの「やりたいこと」を引き出し、人生の更なる1ページに華を添えられるようお手伝いさせていただきたいと思います。