2023.06.23GOALZ

東京の街中を「車椅子」で自走したい!

ARC灘(通所介護)を利用しているTさんは、千葉県の出身の方です。
リハビリでは、持参の歩行器を使用していますが、屋外では車椅子を使って移動されています。

東京の街を、車椅子に乗って一人で散策してみたい!――そんなTさんの希望を叶えるために、車椅子での自走練習を行うことにしました。

まずは室内の練習から始め、徐々に野外での練習に移りました。自動ドアや坂道、でこぼこ道など、あらゆるケースを想定しながら進めていきました。しかし、操作が不安定で、思うように前に進みません。
そんな時、同じARCの利用者さまの一人が自走しているのをご覧になり、「あの方みたいに上手く乗りたい」と……。その利用者さまを「師匠」と呼ぶようになり、一緒に外周を練習していただけるようになりました。また師匠から熱い指導がはいり、段差を昇るコツやまっすぐに走るコツを教わりながら、3カ月が経ちました。

その甲斐もあって、東京で車椅子を使って自走する日を迎えました。
銀座の歩行者天国では息子さまが付き添いをしてくれましたが、日本橋では単独で行動し、ショッピングモールでの買物やランチ、お茶、さらには電車にもお一人で乗車されたそうです。たとえ馴染みのある街であっても、一人で行動することに不安を感じたはずです。東京からこちらに戻ってくると、師匠や私たちに写真を見せてくれました。その姿はとても輝いており「ひとりで不安なこともありましたが、それ以上に楽しかったです」と本当に喜んでおられました。
また以前よりもスムーズに車椅子を操作されていて「自分ではあまりわからないけど、東京で鍛えられたのかしら」と誇らしげに微笑まれていました。

病院でのリハビリとは異なり、デイサービスは目標を定めにくいと言われていますが、今回のように利用者さまの願いを叶えるお手伝いができたことで、私たちスタッフの意識が変わりました。これからも一人でも多くの利用者さまの希望を引き出し、一緒に実現していきたいと思います。